電奏楽団 天門ぶろぐ

アニメやゲームの曲を作っている天門の個人ブログです

芸術の共有化

「芸術の共有化」っていう事を
ふと考える事があります。

ここでの「共有化」っていうのは「貨幣経済」の
真逆のこと。

具体的には「YouTube」や「ニコニコ動画」などが登場した昨今、
アニメなど、自主制作のすごい作品がばんばん
UPされたり、または違法的な事も頻繁に行われ、
音楽もネット上で飛び交っています。

どんどん制作されたものが共有化されて行って
だんだん、みんなお金を出して買わなくなるんじゃないか、と。


話は飛躍しますが、
昔の日本では、能や狂言などが都市部の権力者の庇護を
受けながら伝統芸能として続いて来ました。
ヨーロッパでもやはりパトロンがいて、
はじめて音楽家が成立していた部分があります。

一方で、日本の昔の農村では、日々は食べて行くための
農作業が中心になるので、何らかの理由で働けない人たちが
仕方なく楽器の演奏で食いつないだ事実があります。
そういう人たちは蔑まれていました。

その意味で、基本的に芸術分野というのは
「豊かさ」の上ではじめて成立するものだと言えそうです。

そして現代の日本。
格差は言われていますが、「豊かさ」は
極まってる気はしてます。

また同時に誰でも簡単に音楽が作れたり、絵が描けたり、
映像が撮れたり、そういう芸術の環境的な事は
著しく進歩していますよね。


これが極まってくると、これはもう
「作り手の特権」っていうのはなくなってしまって
ビジネスとして成立しなくなって来るのかも知れません。

言ってしまえば、芸術などの「心の分野」というものは
経済的な仕組みの中に収まり切れないものである、と。

「お金で心は縛れない」
それは素晴らしい事だと思うんですが、
いかんせん、悲しいかなこの世の中は
貨幣経済で成り立っているので、そうなってしまうと
私なんかは生活できなくなってしまう(笑)


今までは、例えば戦時下である、とか
社会的危機が訪れた時に、
真っ先に芸術が切り捨てられると思っていたんですが、
「豊かさ」が極限に達しても、食べる手段としての
芸術が廃れてゆく、という皮肉。


もうすでに音楽CDやアニメや映画のDVDが
売れなくなって来ているこの時代。


十年二十年後、どうなっているんでしょうか。


[ 2009/11/18 15:52 ] つれづれ日記 | TB(-) | CM(8)
共有化は便利かつ簡単に作品発表、交流、競争の場が提供された点は素晴らしいのですが、現状では違法行為によるマイナス効果が目立つのが残念です。また、モラルの低下についても非常に心配です…

もしかしたら、共有化の浸透によって「作品を買う」から「無料配信、ダウンロード数に応じて広告主から制作者にお金が支払われる」のような別の経済方法が確立されるかもしれないですね。
[ 2009/11/19 02:16 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
>BigTreeさん

どうもです。

> 共有化は便利かつ簡単に作品発表、交流、競争の場が提供された点は素晴らしいのですが、現状では違法行為によるマイナス効果が目立つのが残念です。また、モラルの低下についても非常に心配です…

「権利」というものと「共有化」という事が水と油なのでしょうね。
違法行為によって「困る人」がもっとたくさん出てくれば
また違ってくるのでしょうけど・・・。
現状で100%取り締まるのはなかなか難しいから、
別な方向で折り合ってゆくのだと思います。

> もしかしたら、共有化の浸透によって「作品を買う」から「無料配信、ダウンロード数に応じて広告主から制作者にお金が支払われる」のような別の経済方法が確立されるかもしれないですね。

ちゃんとお金が回るのであれば、そういう方法もいいですね。
やっぱり今は金銭を抜きにして経済は
考えられないので、これからも試行錯誤が続くのだと思います。

[ 2009/11/19 14:45 ] [ 編集 ]
こんにちは。以前「Hiro@ki」と名乗っていた者です。

なんだかとても興味深いお話ですね。芸術が豊かさの上で成り立つというのは確かに思い当たる節が多々ありますね。一方で作家の村上春樹さんなんかは「本当の芸術を見たいのならギリシャへ行けばいい。古代のギリシャ人は奴隷として過酷な労働を強いられ、隙間に出来た時間で様々な芸術を生み出した。芸術とはそういうものだ。」というようなことを仰っていました。それを読んだ時はそういうものなのかと感じていました。時代と芸術のあり方は切っても切り離せないものなのでしょうね…

[ 2009/11/19 15:12 ] [ 編集 ]
はじめまして
初めてコメントします、へかと申します。

自分も趣味で映画を作ったり脚本書いたりしているのですが、確かにネット上の動画サイトにいろいろ自分が作った動画がアップされています。
なんというか自分は古い人間なのか、そういったことには反対です。
一瞬で千万単位の人間に触れるのですが、それこそ流されるだけのものになってしまう気がします。

本当にいいもの。映画や小説は手元に置いておきたいし、例えばの話、息子や娘など、後世に残していきたいなと思うんです。
ネットの動画は、偏見かもしれませんが、息子や娘など後世に残していきたいというものではない気がします。その場で楽しんで、3日後にはほかの動画に流れていく。テレビのバラエティとかジャンクフードと同じ感覚がします。

それと本当にいいものはお金を出して買いたいとも思います。いいものを手に入れるには代価が必要な気がします。
動画はほぼタダですから、タダで捨てれそうな気がします。

多くの人に届くけど、多くの人に捨てられていく。それは何か間違っている気がします。

長々と失礼しました。またコメントしたくなったら書きます。では。
[ 2009/11/19 16:26 ] [ 編集 ]
こんにちは。
現代日本の娯楽文化の発展というのは精神的な余裕という面からみても、「豊かさ」と密接な関係があるでしょうね

違法ダウンロードもその重大さを認識できない人が増えているのも問題ですよね~。
発売日の次の日にはネットに出回ってしまっているというのが現状ですし、ニコニコ動画でアニメ系の規制が厳しくなってから(←実際には現在もアニメが目を盗んでアップされているけれども)、一時期は減った気がしますが、またかつてのニコ動のようなサイトが出現していますからね……。
僕が一番嫌なのは、そのゲームや作ったメーカーに対して、お金を落としていない(=買ってプレイしていない)のに、そのメーカーのファンを名乗る人ですね。意外なことに結構いますし。

先日のトークショーで酒井さんもおっしゃっていましたが、
業界全体の売り上げは落ちてきているようですね。
しかし、現在、僕の同世代の人の中にはこの2次元業界に就職したがっている人がかなりいます。
売り上げが落ちてきているのに、クリエーター志望の人が増える。
これが成り立たないのは明らかですね(笑
しかも業界全体的に物によっては発想が出尽くしてパターン化してしまっているものも多くある……。

ホント、十年二十年後はどうなってしまうのでしょうね……
[ 2009/11/19 21:27 ] [ 編集 ]
■ぴろにゃんさん

どうもです。お名前変えられたのですね。

>古代のギリシャ人は奴隷として過酷な労働を強いられ、隙間に出来た時間で様々な芸術を生み出した。芸術とはそういうものだ。

重みのある言葉ですね・・・・。
アメリカの黒人音楽にもそういう側面があるらしく、
骨太な印象があります。
また、第二次世界大戦中のソ連でも体制の監視に
おびえながらながら芸術を行っていた人たちがいます。
それに比べたら現代は幸せですよね。


■へかさん

はじめまして。書き込みありがとうございます。

映像などご自身でお作りになられてるんですね~。

>3日後にはほかの動画に流れていく。テレビのバラエティとかジャンクフードと同じ感覚がします。
>動画はほぼタダですから、タダで捨てれそうな気がします。
>多くの人に届くけど、多くの人に捨てられていく。それは何か間違っている気がします。

「豊かになった」と本文で書きましたが、
後で、その「豊かさの質」はどうなんだろう?って思い返しました。
へかさんのその言葉には大いに同意します。

私も、「普遍性」のあるものを残したいと思ったりするんです。
時代に左右されずにずっと残って行く物。

「豊かさが極限になると芸術が廃れる」
って書いたのは、実は大量に消費される現状の疲れの部分の
事だったのかも知れません。

>またコメントしたくなったら書きます。

今後ともよろしくお願いいたします。


■いわたかさん

どうもです。

>発売日の次の日にはネットに出回ってしまっているというのが現状です

なんていうか、もうこういう流れは止められそうにないな、
とは思ってます。
理想は人のモラルなのでしょうけどね・・・・。

>僕が一番嫌なのは、そのゲームや作ったメーカーに対して、お金を落としていない(=買ってプレイしていない)のに、そのメーカーのファンを名乗る人ですね。

その辺は複雑な気持ちになりますね。
ファンだけど、お金払いたくないから、ダウンロードする
っていうケースが一番マズイかな(^^;;)
お金が正義、というわけでもないですけど、
正々堂々としていてほしいかな、と思います。


>しかも業界全体的に物によっては発想が出尽くしてパターン化してしまっているものも多くある……。

確かに、売れないのは「魅力が無いから」って側面も
あるんですよね。いろんな事がやり尽くされていて、
「お金を出すほどでもないよね」っていうのは
実は、売れなくなった原因のほとんどを
占めてるんじゃないかと思います。

もしかすると先ほどのへかさんの「本当に良い物」が
ちゃんと売れるような、そんな時代が来るのかも知れません。

でもそれは生半可なクリエイターが淘汰されてゆく、
という過酷な時代かも知れませんが(笑)


[ 2009/11/20 16:26 ] [ 編集 ]
CDの売れない、お金の流れの偏りについて
初めまして、天門さん、tamagoと申します。

貨幣制度についてですが、今、現在注目されている
貨幣の仕組みに地域通貨というものがあります。
それに減価する通貨とかですね。

音楽家の坂本龍一さんが21世紀に残すべき本の1冊に
「エンデの遺言 根源からお金を問うこと」の本を取り上げていて、その本の続編「エンデの警鐘 地域通貨の希望と銀行の未来」では、坂本龍一さんが対談形式で、お金の未来について
インタビューを受けています。

資本主義社会のお金の行く末を天門さんの経済生活も含めて、
不安なのでしたら、この2冊の本、読んでみる価値がある
本だと思います。
それにお金の過剰な流れの偏りは僕にとっても、人ごとではないのですよね。
僕も天門さんと似たような、デジタル系の音楽家を目指して
これから頑張ろうと画策していて、その一因は、とある事情で、天門さんのご友人の新海さんに励まされたのが、デジタル音楽家を目指して頑張ろうと思い込んだ動機なのですが、まだまだ初心者のレベルですが、機材集めをしている段階ですが、CDが売れない時代というのが
もの凄く不安なんですよね。

あ、そういえば、坂本龍一さんですら、確か?自伝本で、ロックスターじゃないと食べていけない。と本に書いていて少しだけ迷っているみたいですね。

天門さん、お元気で
では
[ 2009/12/30 01:41 ] [ 編集 ]
■tamagoさん

はじめまして。天門です。
書き込みありがとうございます。

>貨幣の仕組みに地域通貨というものがあります。
>それに減価する通貨とかですね。

地域通貨に減価通貨、ですか~。
地域通貨は場合によっては非常に地方活性化につながる
可能性はありますよね。
地方完全自治みたいな事になれば必然になって来そうですが、
面白そうな感じはしますよね。


>音楽家の坂本龍一さんが21世紀に残すべき本

教授はいろいろと世の中の事を考えて行動してますよね。
職業としては音楽家ですけど、人間としては思想家のような
面が強い気がしてます。

>資本主義社会のお金の行く末を天門さんの経済生活も含めて、
>不安なのでしたら、この2冊の本、読んでみる価値がある
>本だと思います。

読み応えありそうですね。
「貨幣経済は宗教」、といった考え方をしている本があって、
それはなかなか興味深い発想でした。
かなり毒を含んでいて敬虔な方にはきつい内容でしたけど・・・。


>それにお金の過剰な流れの偏りは僕にとっても、人ごとではないのですよね。
>まだまだ初心者のレベルですが、機材集めをしている段階ですが、>CDが売れない時代というのが もの凄く不安なんですよね。

たしかに新海さんは一定レベル以上の個人制作のお手本的な
感じでしたよね。
現在はネットの普及があったり、コミケなどの
同人即売会があるので、活動の幅としては広くなっていると
思います。
ちょっと昔のように、メジャーレコード会社から
デビュー、なんてことしなくても、活動していける土壌が
できつつある、と思っていますので。

まぁ、ただTVなどの今まで主流とされてきた
メディアで有名になったり賞賛をあびたい、というのが
根本的な欲求だとその限りじゃないですが・・・・。

あと、純粋に機材が高い(笑)


>あ、そういえば、坂本龍一さんですら、確か?自伝本で、ロックスターじゃないと食べていけない。と本に書いていて少しだけ迷っているみたいですね。

CDのライナーノーツとか読むと悩んでますよね。
「売れるものとは何か」「ポップスとは何か」っていうことに
かなり悩んでいる様子が見受けられます。

私は、そもそも音楽的な教育を受けていないので、
完全に開き直ってる部分があるから、
そういった悩みは無いんですが(笑)


今後ともよろしくお願いいたします。
また書き込んでくださいね。

[ 2009/12/30 17:13 ] [ 編集 ]
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